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【経団連】第三章 新たなルール、ガバナンスの確立

  • 執筆者の写真: 大地 中本
    大地 中本
  • 1月17日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月6日


LGBTQ

目次

0.本記事

1.データ活用を目靴ルール作成

2.ガバナンス・イノベーション

3.終章

4.単語解説



 

0.新たなルール、ガバナンスの確立


DXの中核をなすデータの活用をめぐるルールの形成と、規制のありかたそのものを根本から見直すガバナンス・イノベーションに焦点をあてて、関連する現在の動きと今後の取り組みの方向性を示したいと思います。

ガバナンス・イノベーション→Society5.0に革新すること→サイバー・フィジカルシステムがもたらす革新(現実世界の情報をコンピューターに取り込み、最適な結果を導き出すシステム))


 

1.データ活用をめぐるルール形成


DXは、世界中から収集されたデータの連携と活用が主要な役割を果たします。しかし、データ活用には標準化やセキュリティなどの技術的課題だけでなく、データの流通、権利と責任、個人データの取り扱い、社会的受容性など様々な課題があります。これにより、各国・地域が独自の戦略や制度を構築し、データ活用の主導権を巡る競争が激化しています。


例えば、中国はインターネット安全法や国家情報法を導入し、データの国外移転を制限する政策を取ります。EUはGDPR(EU一般データ保護規則)やeprivacy規則(Cookieの使用、データの最小化、迷惑メールなどを規制する欧州のプライバシー指令)の強化を進めつつも、EUが強みを持つ産業データの連携を示唆しています。また米国でも、個人データ保護法制の整備が議論されています。


このように、Society 5.0を実現するためには、国境を越えた安全で調和のとれたデータ活用のためのルール整備が不可欠で、個人情報を含むデータの安全な流通とバランスを保ちつつ、グローバル・スタンダードを構築する必要があります。

なので、プライバシー保護意識を持ちながらもイノベーションとのバランスを取ることを重視する我が国は、グローバルリーダーシップを主導するにふさわしい国と考えられます。


DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)は、日本が提唱し、国際的な取り組みが進んでいます。WTOにおける電子商取引交渉や個人情報保護制度の相互運用性の確保などがその一環です。


COVID-19パンデミックは、国境を越えたデータ連携の必要性を表面化しました。WEF(世界経済フォーラム)は、特定の公共目的のためなら個人の同意なしにデータの流通を認め、別の形で保証する提案をしており、パンデミック対策における国際的なデータ流通の必要性を指摘しています。将来の備えとして個人情報保護を考慮しつつ、国際的なデータ流通のあり方を検討することが有益であるとされています。



 

2.ガバナンス・イノベーション


近年、技術進化の速さに伴い、政府の規制が技術の革新的なアイデアを妨げる事例が増えています。一方で、デジタル技術とデータ活用により、従来のような細かな事前規制の代わりにリアルタイムでリスクを見極め、柔軟な規制が可能になっています。民間の革新を促進するために、政府の規制をリスクに基づいた柔軟なものに変える必要があります。また、民間も自主的な行動規範を策定し、暗号技術などの革新を通じて政府の規制と同等の効果を確保する方法を模索するべきです。

OECD(経済協力開発機構)では、BIAC(経済産業諮問委員会)と協力し、民間の意見を取り入れた規制枠組みの検討を行っています。日本の経済産業省も「Society 5.0における新たなガバナンスモデル検討会」を通じて、イノベーション促進と社会的価値の実現を両立する新たなガバナンスモデルの必要性を検討しました。これらの議論を踏まえ、グローバルな規制やガバナンスのあり方を決める際には、官民の連携と技術の変化に柔軟に対応する必要があります。

日本はG20においてDFFT(信頼性のある自由なデータ流通)やガバナンス・イノベーションの概念を提唱し、国際的な合意に参加することで、国際的なルール形成を牽引しています。ルール形成は国際競争力だけでなく、将来の社会を決定するものです。そのためSociety 5.0を世界に展開するためには、自らルールを作る姿勢が求められます。

DXの推進に向けたグローバルなルール形成を強化するため、WEF(世界経済フォーラム)ではグローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(第四次産業⾰命の活用と統御に焦点を当てた国際会議)が計画されています。



 

3.終章


COVID-19は、従来の社会構造を大きく変えました。世界中で医療システムが混乱し、経済活動が停止し、社会活動が制限されました。日本社会でも、デジタル化の分野で他国に遅れをとっていることを医療や教育、行政、金融、物流など、様々な分野で痛感することとなりました。

現在の最大の課題は感染拡大を抑えつつ、人々の基本的な生活を維持することです。その中で遠隔医療や遠隔教育、テレワークなど、DXが解決策の一端を担う可能性があります。そして危機を克服した後は、打撃を受けた経済を立て直し、持続可能な成長への道を探る必要があります。

日本発のDXを推進し、Society 5.0を実現することが重要だと経団連は考えており、ポストコロナ時代の新たな社会構築に向けて積極的な行動を検討しています。

DXと人々の創造力は未来を切り拓くための鍵です。COVID-19は困難をもたらしましたが、同時に社会の問題を浮き彫りにし、DXによる解決策を示しました。この機会をDXの加速に捉え、社会の再構築を進めたいと思います。



 

~単語解説~

言葉

英語表記

意味

GDPR

General Data Protection Regulation

欧州議会・欧州理事会および欧州委員会が欧州連合 内のすべての個人のためにデータ保護を強化し統合することを意図している規則

eprivacy規則

ePrivacy regulation

Cookieの使用、データの最小化、迷惑メールなどを規制する欧州のプライバシー指令

DFFT

​Data Free Flow with Trust

信頼性のある自由なデータ流通

WEF

World Economic Forum

グローバルかつ地域的な経済問題に取り組むために、政治、経済、学術等の各分野における指導者層の交流促進

OECD

Organisation for Economic Co-operation and Development

国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、最近では持続可能な開発、ガバナンスといった新たな分野についても加盟国間の分析・検討を行っています

BIAC

Business and Industry Advisory Committee

アメリカ合衆国大統領に経済政策の助言をする大統領府の機関

グローバル

テクノロジー

ガバナンス

サミット

Global Technology Governance Summit(GTGS)

第四次産業⾰命の活用と統御に焦点を当てた国際会議



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